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【救急活動】救急現場の状況評価(救急隊&消防隊員向け)【完全解説:基本手技】

この記事では、救急現場で行われる活動の1つ
「状況評価」について解説しています。

救急車に乗り始めたばかりの新人救急隊員はもちろん、現役隊員の復習新人教育で利用できるように、可能な限り救急現場に即して必要十分な情報で纏めました。
また状況評価は、救急資格(救急標準課程や救急救命士)の必要がなく、PA連携で先着した消防隊員にも必須スキルです。

<想定読者>
  • 状況評価って何?
  • 状況評価の項目は?
  • 状況評価の方法は?
  • 状況評価はどのタイミングでするの?

上記のような悩みを抱える、

  • 救急隊員
  • 消防隊員

この記事を読むことで、
状況評価の目的・重要性・評価方法が理解でき、自信を持って現場で迅速な「観察+評価+対応」を行えるようになります。

救急活動の全体の流れ、他の活動については
↓記事から確認してください。

\まとめ記事/

\詳細記事/

この記事の信頼性
  • 救急隊(救急救命士)を10年以上
  • 現役で活動中|隊長・隊員・機関員経験
  • エビデンス|以下参考資料
    • 救急標準テキスト
    • 救急救命士標準テキスト
    • 必要に応じて各公式サイト参考

当サイトは、消防吏員(救急隊員など)向けに運営・執筆しています。
他の医療従事者(医師・看護師など)が病院内で行う行為と一部記述に差異(簡略化など)がある箇所がありますのでご了承ください。

※活動する環境(人数含む)・資格による行える処置・使用できる資機材等のため

それでは、本題に入ります。
共に学びましょう!

目次

前提:状況評価とは

傷病者に接触するまでに、指令内容などから傷病者の状態や状況を推測し、
救急現場や傷病者の状況を把握し評価する。

何かを評価するには
必要な情報を収集・整理し、その情報を基に知識や経験をエビデンスとして評価します。
そのため情報の収集能力と知識・経験が重要です。

状況評価をするタイミングと評価する項目

状況評価と聞くと、救急現場の状況を評価するのかと思いますが
状況評価は、出動指令が掛かった時から始まっています。

ここでは、評価を実施するタイミング(時系列)に細分化し、必要な情報評価をみていきましょう。

状況評価をするタイミングとしては以下の3つです。

  • 出動指令~現場到着前
  • 現場到着~傷病者接触前
  • 傷病者接触時

詳しく解説します。

1. 出動指令~現場到着前:指令内容+プレアライバルコール

必要な情報
評価項目
  • 災害点はどこ?
  • どんな災害(事案)?
  • 傷病者の状況は?
  • 災害点までの最速経路
  • 指令内容に適した感染防御
  • 必要な資機材の選定

出動指令~現場到着前までの状況評価では、おおまかな活動方針を決定&共有するため、
出動指令がかかったら、まず指令内容を確認し、

  • 災害点はどこか?
  • どんな災害(事案)なのか?
  • 傷病者はどの様な状況か?

などの情報を集めます。

また、必要であればプレアライバルコール(PAC)を活用し、
通報者から詳細情報を聴取することで、精度を上げることができます。

集めた情報から

  • 災害点のまでの最速経路
  • 指令内容に適した感染防御
  • 必要な資機材の選定

を評価します。

① 災害点までの最速経路の選定

機関員は、時間帯を考慮した道路状況(渋滞・踏切・工事等)や狭隘等を加味し、
災害点までの最速経路を選定します。
また現場~予測される搬送先の経路及び搬送所要時間も推測しておくことで
よりスムーズな活動が可能です。

② 感染防御の確認

現場出動時は、標準予防策(スタンダードプレコーション)を基本とします。

また、日頃から感染症の理解に努め
各感染症の感染経路に応じた防御策を講じ、救急活動時の感染を防止することが大切です。

例:空気感染する結核・麻しん・水痘が疑われる場合、サージカルマスクではなくN95マスクを使用するなど

感染防御については

感染症については
 >>感染症一覧

③ 救急資器材の選定

各傷病者に対し適当な救急資器材を携行する必要があるため、
指令内容などから傷病者の状態を推測し、必要な資機材を選定・準備します。

例:交通事故の場合、外傷バック・呼吸管理セット・全身固定器具(ネックカラー含む)など

2. 現場到着~傷病者接触前:現場の状況

必要な情報
評価項目
  • 現場周辺の状況は?
  • 傷病者の人数は?
  • 事故内容or現病歴は?
  • 二次災害の危険性
  • 増隊の必要性
  • 活動障害
  • 搬送経路

救急現場の状況把握は、救急活動を実施する上でもっとも重要です。
関係者(通報者や発見者など)からの情報救急隊員が視認した情報を基に

  • 現場周辺の状況は?
  • 傷病者の人数は?
  • 事故内容or現病歴は?

などの情報を集めます。

※現場到着前と違い、既に救急現場に到着しているため、救急隊員が確認できることは直接確認推奨。

集めた情報から

  • 二次災害の危険性
  • 増隊の必要性
  • 活動障害
  • 搬送経路

を評価します。

① 二次災害の危険性

救急現場は、危険な場所であることが往々にしてあります。
そのため、救急現場に危険が潜んでいないかを評価します。

安全管理の優先順位は

  • Self(自分自身):染防御など必要な装備をしているか。
  • Scene(周辺環境):交通や危険物による危険、崩落しそうな場所はないか。
  • Survivor(傷病者):周辺は安全か。

です。

傷病者や関係者などに危険が予測される場合は、迅速に安全な場所へ移動します。

② 増隊の必要性

二次災害の危険性や傷病者の人数などから、増隊が必要かを評価します。

二次災害の危険性があれば、消防隊救助隊関連機関(電力会社・ガス会社・鉄道会社など)の要請が必要であり、
傷病者の人数が複数人であれば、救急隊の増隊も必要になるかもしれません。

③ 活動障害

活動に障害があるものを確認します。

例えば、屋内であれば、家具や家電、屋外であれば車などが考えられます。
また、衆人やペットなども活動の障害になりえます。

さらにそれらが、移動可能であるのか?
可能であれば、救急隊が移動するのか?それとも関係者に依頼するのか?
場合によっては、傷病者を早期に救急車内に移動させた方が良いのか?
などを評価します。

④ 搬送経路

傷病者がいる場所から救急車まで、どの経路で搬出するのが
安全・確実・迅速に搬送できるか評価します。

また、搬送経路上に障害物があれば、
「③活動障害」で記載したとおり、どのように排除するのかを考えます。

STEP3 傷病者接触時:傷病者の状況

最後に傷病者の状態を評価します。
接触後、より詳細に初期評価や全身観察、バイタル測定などを行いますが
接触前の状況評価では、簡潔に第一印象や目に見える範囲で評価します。

必要な情報
評価項目
  • 関係者(通報者・発見者など)からの情報
  • 救急隊が視認した情報
  • 意識・体動
  • 場所・体位
  • 出血
  • 嘔吐

①意識・体動

開眼しているか、体動があるのか、会話可能かなどを評価し
意識障害CPAなど緊急度・重症度が高い疑いがあるか
傷病者接触前に推測します。

②場所・体位

傷病者がいる場所・傷病者の体位を確認します。

場所 ⇒ 歩道・車道、寝室・居室・食卓・風呂場・トイレ・廊下など
体位 ⇒ 立位・座位・仰臥位・腹臥位など

例えば、

  • 車道など交通がある場所で、仰臥位・腹臥位⇒車両と接触した?
  • 食卓で座位やうつ伏せであれば⇒窒息?

などを考慮して活動することができます。

③出血

傷病者の出血の有無を確認し、
出血があった場合、活動性の出血かを判断し、止血処置を優先すべきかを評価します。

▼ 止血処置については ▼

④嘔吐

傷病者の周辺に嘔吐痕がないか確認します。

嘔吐痕がある場合、消化器疾患脳疾患鑑別に有用である可能性があります。

まとめ:状況評価は救急活動で最初の評価のためとても重要

今回は救急活動の流れとして「状況評価」について纏めました。
救急の現場は、状況評価次第で活動の流れが変わります。

そのため、出動指令から傷病者接触までに必要な情報を得ながら
しっかりと評価することが重要です。

状況評価をするタイミングは以下の3つです。

  • 出動指令~現場到着前
  • 現場到着~傷病者接触前
  • 傷病者接触時

必要な情報評価は、それぞれ以下の通りです。

出動指令~現場到着まで

必要な情報
評価項目
  • 災害点はどこ?
  • どんな災害(事案)?
  • 傷病者の状況は?
  • 災害点までの最速経路
  • 指令内容に適した感染防御
  • 必要な資機材の選定

現場到着~傷病者接触前:現場の状況

必要な情報
評価項目
  • 関係者(通報者・発見者など)からの情報
  • 救急隊が視認した情報
  • 意識・体動
  • 場所・体位
  • 出血
  • 嘔吐

傷病者接触時

必要な情報
評価項目
  • 現場周辺の状況は?
  • 傷病者の人数は?
  • 事故内容or現病歴は?
  • 二次災害の危険性
  • 増隊の必要性
  • 活動障害
  • 搬送経路

救急現場は時間との勝負であることが多いため、迅速に活動することが求められます

状況評価の後に実施する
初期評価」「全身観察」「バイタル測定」「状況聴取」などを、
スムーズかつ的確に実施するために状況評価を確実に行い、推測していくことが重要です。

関連記事

\まとめ記事/

ただし、最終的には全ての観察&評価を行い総合的に判断する必要があるため、
あくまで推測に止め、決めつけることなく活動する必要があります。

以上


それでは明日も頑張りましょう!全ては傷病者のために(^^)/

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最後まで、読んで頂きありがとうございました。

参考資料:救急救命士標準テキスト、救急標準テキスト、標準多数傷病者対応MCLSテキスト

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